Basic Skills Learning (BSL)


門外不出!初心者が文型をマスターする裏技

 

 今回は、初心者が英語の五文型をマスターするための裏技的な方法をご紹介します。

 

 まずは前提として、私自身は2015年にSoC英会話を始めて以来、「英語は英語で習得すべき」という考えで英会話セッションを運営してきました。メンバーの方々とはなるべく英語でしか会話しないようにしていたので、私が日本語を話せることを知らないメンバーのほうが多かったほどです。

 

 しかし、まったくの初心者の場合、まずは母国語である日本語を補助的に使って英語を学んだほうがストレスなく習得が進み、理解も深まるということがわかりました。かといって、難しい文法書を開いて勉強しても、頭が混乱するだけでなかなか楽しく英語を身に着けることは出来ません。そこで、日本語を使いながら、英語脳を鍛える方法を考案しました。

 

 今回は、その方法をご紹介します。

 

 

 


1.主語 S と目的語 O を口にする習慣を身に着ける


 日本語は、ハイコンテクスト、つまり暗黙の了解を前提とした曖昧さが特徴の言語です。どういうことかというと、日本語では主語や目的語をはっきり言わなくても互いに通じ合うことが想定されています。しかし、英語は日本語と違い、主語と目的語をはっきりさせることで日本語のような曖昧さを残さないのが特徴です。

 

 例を挙げてみましょう。

 

日:これあげる。

 

 上記の文には、「誰が、誰に」という主語と目的語がありませんが、「私が、あなたに」という意味合いは暗黙の了解として存在しています。

 

 これを英語に翻訳すると、下記のように言うことができます。

 

英:① I'll give you this.  ② You can have this.  ③ This is (a gift) for you.

 

 それぞれを五文型でとらえると、①はSVOOの第四文型で、最も論理的に明確な表現となります。②についてはSVOの第三文型で、「私」ではなく「あなた」を主語にすることで少し柔らかな表現になっています。③は例文の日本語表現に最も近く、親しい者同士でのローコンテクストな言い回しではありますが、SVCという第二文型は崩しておらず、(a gift という補語の部分は省略されているものの)主語は明確に存在していますし、for you という部分も省略できません。

 

 仮に、日本語通りに英語でも対応する単語を並べると、

 

英: This give. これは与える。

 

…となり、意味がわかりません。

 

 もう一つ例を挙げてみましょう。

 

日:ねえ、次の授業、ブッチしない?

 

 ここでも、会話をしている当事者間の話であることは暗黙の了解として想定されているため、「俺たち」という行動の主体が省かれています。

 

英:① Hey, why don't we skip the next class? ② Hey, do you wanna skip the next class? ③Hey, let's skip the next one.

 

 ①は丁寧な言い方で、②は少し口語っぽくなり、③は日本語同様ハイコンテクストです。ただし、やはりいずれの場合も主語は省かれていません。③の let's とは let us の略であり、「俺たち~しようよ」という誘い掛けになります。

 

 元の日本語通りに英単語を並べてみると、

 

英: Hey, the next class, skip?

 

 おそらくなんとか伝わるには伝わりますが、まともな文章にはなっていません。

 

 英語の上達を早めるためには、日本語の表現の中で主語と目的語を必ず明確にするトレーニングをすることが有効です。そうすることで、ふだんは頭の中で意識されていない論理性が鍛えられるからです。

 

日:これあげる → 私、あなたにこれをあげる。

日:次のクラス、ブッチしない? → 俺たちさ、次のクラス、ブッチしない?

 


2.英語と同じ語順で会話する


○第一文型:S-V

 

 英語では、文型を問わず、いわゆる肯定文では S(主語)> V(動詞)という入口の部分は不変です。日本語にすれば、「 S は V する」という表現になります。

 

・よく寝た~。 → 俺、寝たな~、よく。

・ちょっと出かけてくる。 → 俺、出かけてくるね、ちょっとだけ。

・帰ったね。 → 彼、帰ったね。

 

○第二文型:S-V-C

 

・疲れた~。 → 私、疲れてる。

・左利き? → 君、左利き?

・運動神経いいね。 → 君、得意だね、運動。

 

○第三文型:S-V-O

 

・野球やってます。 → 私、やってます、野球を。

・英語話せる? → 君、話せるの、英語?

・鍵なくした。 → 俺、なくしたわ、鍵。

・誤解だよ。 → きみ、誤解してるよ、僕を。

 

○第四文型:S-V-O-O

 

・借りを作っちゃったな。 → 私、借りを作っちゃったわ、あなたにこの件で。

・彼女の誕生日に花束あげたんだよね。 → 俺、あげたんだよね、彼女に花束を、彼女の誕生日にさ。

・何度も言ったよね。 → 私、言ったよね、あなたにこのこと、何度もさ。

 

○第五文型:S-V-O-C

 

・夫には鬼嫁って呼ばれてるから。 → 私の夫、呼ぶのよ、私を鬼嫁って。

・鍵は開けてきたから。 → 私、出たわよ、家を、ドアの鍵は開けたままで。

・いつも部屋片付いてるよね。 → あなた、いつも、ちゃんとキープしてるのね、あなたのお部屋を片付いた状態に。

 


3.帰属の概念を明確にする


  日本語では「誰の」という情報は曖昧なままにされることがある一方で、英語では所有者や帰属が明確に表現されます。

 

・財布なくしちゃった。 → 私、なくしちゃったわ、私の財布。

・そのペンダント、可愛いね。 →  私、好きよ、あなたがいま身に着けてるそのペンダント。

・妹とカラオケ行ったの。 → 私、行ったのよ、カラオケに、私の妹と。

 

 日本語らしい表現として「うち」という言い回しがあります。

 

・うちの会社さぁ、

・うちの場合ですね、

・うちの嫁さんがさぁ…

・うちのクラスね、

 

 これは「内」と「家」をかぶせたような意味合いで使われ、対象を個人にではなくぼんやりとした集団に帰属させるニュアンスが強調されます。この「うちの会社」という言い回しの背景にあるのは、家族のような共同体としての会社で、これに対応する英語表現はありません。

 

 このように、日本語という言語は、個が埋没しがちな集団社会を反映しているといえるでしょう。英語を習得したいなら、日本的な集団帰属思考から抜けて出て、個人の輪郭をはっきりと意識することによって、まずは英語圏の人々の考え方や世界観をインストールする必要があります。

 


まとめ


・主語「誰は/が」、目的語「誰に/何を」をはっきりさせる。

・語順を英語の五文型と同じにしてみる。

・「誰の」という帰属をはっきりさせる。

 

 気づいた方も多いと思いますが、英語的な日本語をしゃべろうとすると、ハチャメチャでありながら論理的で、なんだかノリが良くて饒舌な印象を与えます。お笑い芸人などは、英語的な語順で話す人が多いですよね。

 

 このような練習をすることで、日本語を話しながらでも、英語の文型の感覚を磨くことができます。頭の中で、日本語の曖昧なイメージを英語のはっきりとした論理的なイメージに切り替えることが大事なのです。

 

 See you guys next!
文: David
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